エアコンの取付に必要なエアパージとは?方法・手順を徹底解説

「エアパージ」はエアコンの取り付けには欠かせない作業です。

家庭用、業務用を問わずエアコンを取り付けた後には必ず行います。

エアコンの取り付け時に行う「エアパージ」とは「冷媒配管の内部に残っている不純物を室外機にある冷媒ガスで押し出す」作業のことです。

また「冷媒配管の内部に残っている空気や水分などの不純物を取り除く作業」自体のことを指す文言としても使われます。

エアパージを行わずにエアコンを使用するのは故障のリスクを伴いかなり危険です。

この記事ではそんなエアパージについて詳しくご紹介いたします。

最後まで読んでくだされば、エアパージの目的や具体的にどのような作業を行うのか、さらには必要になる費用までを把握することが可能です。

安心してエアコンを使用したい方はぜひ一読してくださいね!

目次

エアパージとはどんな作業?

上記にある通りエアパージはエアコンを取り付けた直後に行います。

しかしどうしてエアパージをする必要があるのでしょうか?

通常のエアコンは、室内機と室外機がセットで稼働しますよね。

これらの2台の機械には熱交換器という部品が内蔵されています。

熱交換器を経由して室内外の熱を奪ったり放出したりしながらエアコンは室温をコントロールしているのです。

この熱交換器による熱のやり取りを熱交換と言います。

ではどのようにしてエアコンは熱交換を可能にしているのでしょうか? その答えは冷媒ガスにあります。

冷媒ガスとはエアコン内に充填された熱を運ぶ物質のことです。

冷媒ガスは圧縮すると液体になり、減圧すると気体に戻る性質を持っています。

液体になった冷媒ガスは熱交換器から熱を受け取り、逆に気体になった冷媒ガスは熱交換器へ熱を渡すのです。

エアコンはこれを利用し熱交換を行っています。 冷媒ガスは言わば「エアコンの血液」ともいえる存在なのですね。

「エアコンの血液」である冷媒ガスは室内機と室外機をつなぐ冷媒配管を伝いエアコン中を駆け巡ります。

しかし、もし「エアコンの血液」が循環する冷媒配管、いわいる「エアコンの血管」に流れを邪魔する不純物があったらどうなるのでしょうか?

考えるまでもなく、それは「病気」のもとになりますよね。 エアパージはエアコンの「病気」である故障を防ぐために行うのです。

エアパージを行わないとどうなる?

まず、エアパージは安心してエアコンを使うためには必須の工程だと認識しましょう。

取り付ける前のエアコン内部には空気や水分、その他ゴミなどの不純物が付着しています。

エアパージをせずエアコンの冷媒配管の中に不純物が残ったままで稼動させるとさまざまな弊害があります。

まず冷媒配管の中に不要な空気が残っているとエアコン内の冷媒ガスの濃度が下がり、運転効率低下などを引き起こします。

また冷媒配管の中に水分が残っていると、配管が詰まってしまったり、傷がついたりすることも考えられるでしょう。

冷媒配管の中で水分が凍り付いてしまうためです。 このような状況に陥らないためにもエアパージは必ず行うことをおすすめします。

しかしまれに「エアパージを行わなくても大丈夫です」と言われた、という方がいらっしゃいます。

ネットでは実際に業者がエアパージを行わないまま試運転し「きちんと動くから大丈夫」と取り付け工事を済ませたというケースの存在も見受けられます。

たしかにエアパージを行わないでエアコンを使用しても、問題なく稼働することが多いです。

しかし何の問題も無く作動しているのは初めのうちだけで、長期間使用しているとエアコンに問題が現れます。

最悪の場合エアコンの心臓部であるコンプレッサーが致命的なダメージを負い、取り付けたばかりのエアコンが使えなくなってしまった例もあります。 以上のことからもエアパージは行うべき作業と言えるでしょう。

調査&見積もり無料キャンペーン実施中!

エアパージの方法・手順

このセクションではエアパージの具体的な方法や手順を紹介していきます。

実をいうとエアパージにはさまざまな手法が存在します。

外部からの冷媒ガスを使ったり、真空ポンプを使ったりといろいろな手法がありますが目的は同じく「配管を真空にして綺麗にすること」です。

このセクションではエアパージの4種の手法を紹介します。 解説するエアパージの手法4種類は以下の通りです。

  • 内部のガスによるエアパージ
  • 外部のガスによるエアパージ
  • 真空引き
  • 真空乾燥

では確認していきましょう!

ガスによるエアパージの方法

ガスによるエアパージは行程が非常にシンプルで、簡単に行うことができます。

一昔前はこのガスによるエアパージが主流となっていました。

しかしエアコン内部の冷媒ガスを外に放出してしまったり、内部に混入した空気を完全に除去することができない等の理由から、現在ガス圧式のエアパージは推奨されていません。

内部の冷媒ガスを使う方法

内部の冷媒ガスを使用したエアパージの手順は以下の通りです。

STEP
室外機の高圧側バルブに六角レンチを差し込む

高圧側バルブとは細い方の配管(液管)についているバルブのことです。

STEP
ほぼ直角(90度)にバルブを開け5~6秒ほど開放した後、高圧側バルブをしっかり閉める
STEP
低圧側サービスポートのムシを押し、配管にためた空気を全て抜く

ムシとは室外機サービスポートの部品を指し、押すとガスが出ます。

STEP
抜き終わったら高圧・低圧両方のバルブを開放する

外部の冷媒ガスを使う方法

外部の冷媒ガスを使用したエアパージの手順は以下の通りです。

STEP
室外機の低圧側サービスポートにガスボンベを接続する
STEP
ガスボンベからガスを注入する
STEP
高圧側のフレアナットを緩め、空気を抜く
注意点

エアコンの内部にある冷媒ガスと同じ種類のガスを用意すす事 使用するガスボンベは、取り付けるエアコンに使用されている冷媒ガスと同じガスが入っているボンベを用意します。

用意するガスの種類がエアコンの冷媒ガスと異なると、配管内に冷媒ガスと後から入れた違う種類のガスが混在することになり、エアコンの動作に不具合を起こす要因となるためです。

真空ポンプを利用した真空引きの方法

真空引きはご自身で行うよりも業者へ依頼することをおすすめします。 真空引きの手順は非常に複雑で難解です。

専門知識のない人間が行うと時間がかかるうえにかなりの高確率で失敗します。

また上記の通りガスを使ったエアパージは安全面や環境保護の観点から非推奨となっています。

エアパージを依頼する際には真空ポンプを使用した真空引きを行う業者を選定するようにしましょう。

真空ポンプを使う方法(真空引き)

真空引きの手順は以下の通りです。

STEP
室外機の側面にあるサービスポートのナットを外す

室外機には液管にある高圧バルブとガス管にある低圧バルブの2つのバルブが存在します。

これら2つのバルブは両方とも完全に閉めておきましょう。

STEP
室外機と真空ポンプをつなぐ

ゲージマニホールドを真空ポンプにを装着します。ゲージマニホールドの中心にあるバルブに接続しましょう。

さらにゲージマニホールドの低圧バルブと室外機の低圧側サービスポートをチャージングホースに接続します。

チャージバルブを使い接続します。 接続時は力加減に注意して行いましょう。

緩すぎても締めすぎても作業が上手くいきません。

STEP
真空ポンプを稼働させる

チャージングホースのバルブと、室外機の低圧側サービスポートに接続したチャージバルブのツマミを開きましょう。

ゲージマニホールドの低圧バルブを開けます。反時計回りにバルブを回しましょう。

その後に真空ポンプの電源を入れてください。

真空ゲージの数値が下降するのを確認したら、そのまま約15~20分間放置します。

この工程は業務用エアコンの場合はもっと長く、約1~2時間はかかるでしょう。

ちなみに真空ポンプから煙が立ち上ることもあります。

しかしこれはオイルミストと呼ばれるものであり、故障ではないので安心してくださいね。

STEP
真空ポンプを止める

時間が経ったら真空ゲージの数値が「-0.1MPa」になっていることを確認しましょう。

確認が取れたら気密テストを行います。

ゲージマニホールドのバルブを閉めたあと、真空ポンプの逆流防止バルブもしっかり閉じてから真空ポンプを止めてください。

5分ほど様子を見て、ゲージマニホールドの数値が「0」側に揺れていないか確認をします。

※ここで針が「0」側に揺れ動く場合は漏れの可能性があります。各所の接続部をチェックし、もう一度はじめから真空引きを行いましょう。

STEP
ガス漏れチェックを行う

バルブを開く前にガス漏れが無いか確認するため、チェックを行います。

2つのサービスバルブのうち、細い方に六角レンチを使って90度開けてください。

5秒程度ですぐに閉めたら、ガス漏れが発生していないかを確認しましょう。

※ガス漏れが発生しているとゲージマニホールドの針が動きます。

STEP
真空引き終了

真空ポンプを取り外します。 室外機や機材にある全部のバルブが閉まっていることを確認し、チャージングホースを室外機の低圧側サービスポートから取り外しましょう。

室外機の低圧・高圧バルブを開け、冷媒を配管内に通したら終了です。

より確実に真空にする「真空乾燥」

より確実に配管内部を綺麗にしたいのであれば真空乾燥でのエアパージを検討しましょう。

真空乾燥とは真空引きよりも長く真空ポンプを稼働させておく作業のことです。

作業にかかる時間はその分長くなりますが、作業の内容や手順は真空引きとほとんど変わりません。

真空引きよりも真空ポンプを長時間作動させることで、冷媒配管の中にある不純物をほぼ完全に除去することができます。

なのでこの真空乾燥でのエアパージは、配管内部にある水分が多い場合にもよく使われる手法です。

エアコンが故障するリスクをできる限り減らすにはこの方法がうってつけといえるでしょう。

ただし真空乾燥にはデメリットも存在します。 上記の通り真空乾燥は真空ポンプを長時間ずっと稼働する必要があるので時間がかかります。

特に雨の日は家庭用エアコンであっても1時間以上真空ポンプを稼働させなければなりません。

しかし時間がかかる分、効果は抜群です。安心してエアコンを使用できるようになりますよ。

エアパージは自分でできる?メリット・デメリット・費用について

エアパージに必要となる費用は?

エアパージも取り付け工事も、全て自分で行う場合

最低でも2万円以上かかります。 エアパージに限らずエアコンの取り付ける作業には専用の機材や部材が必要になります。

これらを全て購入するとそれだけで業者への依頼料をはるかに超える金額になるでしょう。

機材・道具をレンタルできるサービスも存在しますが、新品ではない機材・道具はクセがあり素人には扱いにくいと考えられます。

もちろんほとんど使われていない新品同様の機材や道具をレンタルできれば問題はありません。

しかし、その確率はかなり低いと考えた方がいいでしょう。

さらにエアコンの取り付けはかなり高度な専門知識を要します。技術と経験も必要です。

また取り付けるエアコンによっては資格がないと工事が不可能なケースもあります。

エアコンの取り付けに失敗すると機器が故障するだけではなく、爆発や漏電などの事故を起こすこともあり得るでしょう。

安全面でも料金面でもおすすめできない選択肢であると言わざるを得ません。

エアパージを自分で行い、取り付け工事を業者に依頼する場合

まず、エアパージの相場は約5,000円程度です。高くても1万円ほどで依頼できます。

この約5,000~1万円を浮かせるために、自分で機材を用意し真空引きを行うことを考えてみましょう。

エアパージを行うには真空ポンプやゲージマニホールドといった機材を用意する必要があります。

これらを揃えるには真空ポンプが2万~3万円、ゲージマニホールドが5,000~1万円なので大体2万~4万円はかかるでしょう。 3,000~5,000円くらいで機材や道具をレンタルするという手もあります。

しかし上記の通りレンタルする道具にはクセがあったりするので使用感はあまりよくないケースが多いです。

また、道具や機材のレンタル料と同程度の金額でエアパージを行ってくれる業者も多く存在します。

結果的にエアパージを依頼するだけの金額は出ていくことになるでしょう。

同じだけ出費が発生するのであれば、エアパージを業者へ依頼する方が安全であると言わざるを得ません。

なのでこの選択肢も得策とはいいづらいですね。

ちなみにエアコンの取り付けにかかる費用はエアコンの種類にもよりますが相場で8000~1万円程度です。 エアコンの取り付けにかかる費用は業者の選定によりかなり差が出ます。

業者の公式サイトはもちろん、口コミなども活用しじっくり吟味しましょう。

エアパージも取り付け工事も、全て業者に任せる場合

エアコン専門店に依頼する場合

単純にエアパージの料金+取り付け工事の料金と考えて、約5,000~1万円+約8,000~1万円なので13,000~2万円ほどかかる計算になります。

ですが嫌に安い工事費を提示する業者は玉石混交なので良い業者を見分けるのが大変難しいです。

きちんとした仕事を期待するのであれば中間である16,500円ほどの料金を提示している業者にお願いすると良いですよ。

エアコンの取り付け工事にエアパージが含まれている場合はこれよりも安くなります。

2.8kwまでの冷房能力のエアコンだと15,000円程度で取り付け可能です。

2.9~4.5kwの冷房能力のエアコンは18,000円ほどで取り付けられます。

これより冷房能力があるエアコンは2~2.5万円ほどかかるようです。

家電量販店に依頼する場合

3.6kwまでの冷房能力のエアコンは10,000円前後で取り付けてもらえます。

3.7kw以上の冷房能力のエアコンだと16,000円前後かかるようです。 ここで提示している金額はすべて目安なのでお店により若干金額が変動します。

また上記の金額は全て取り付け工事にエアパージが含まれる場合の値です。

取り付け工事にエアパージが含まれておらず、オプションとしてエアパージを行う場合はこの金額よりも高くなります。

取り付け工事を依頼する前に、サービスの範囲がどのくらいであるのかを必ず確認しましょう。

価格等の詳細もお気軽にご相談ください!

エアパージを自分で行うデメリット

エアパージを自分で行うデメリットは費用が高くなるだけではありません。

エアパージは手順を間違えたり、作業に失敗するとエアコンがまともに稼働できなくなります。

エアパージは手順が非常に複雑です。専門知識を持たない人間が行うと時間もかかります。

そのうえにミスをする確率も非常に高いのです。 エアパージの失敗例は以下の通りです。

  • バルブを閉じる順番を間違えてしまい空気が入ってしまう
  • 冷媒ガスが漏れてしまい補てんの費用が発生する
  • 機材への接続不良などで、空気を完全に抜くことができない

エアパージの作業工程を一つひとつ進めていくだけでも大変なのに、こうしたイレギュラーな事態への対応も迫られるのです。

また雨が降っていたり、配管が濡れてしまっている状態だとトラブルを起こしやすくなっています。

作業する環境にも注意をしなくてはいけないのですね。 このようにエアパージは難しい作業です。

業者であれば専門知識はもちろん技術力やエアコン取り付け工事の経験値もあります。

なによりもエアコンに精通している技術者が作業を行えば時間もさほどかかりません。

慣れない作業を自分で行うよりも非常に効率的です。

費用や時間、さらには安全性を考慮しご自身で対応が難しいと感じたら迷わず業者へ依頼しましょう。

まとめ

エアパージについて解説しました。 エアパージはエアコンを取り付ける際には必須の作業です。

その後エアコンがどれだけ長く稼働できるか、またどれだけ性能を発揮できるかを決める重要な工程と言えるでしょう。

しかし知識が古かったり未熟だったりする業者が取り付けたエアコンや、設置された年代がかなり前であるエアコンは、ガスを使用したエアパージを行っている可能性が高いのです。

このようなエアコンは冷媒配管内の不純物が残っているケースも多くあります。

エアコンの効きが悪く、原因が設置時に行ったエアパージの甘さにあると考えられる場合はすぐに信頼のおける業者にエアパージを依頼しましょう。

コタニエアコンは多くのお客様から厚い信頼をいただいている、空調設備のプロ集団です。

エアコンのプロとして専任担当者が丁寧に対応します。 エアコンの「わからない」「不安だ」はぜひ弊社にご相談ください。

調査&見積もり無料キャンペーン実施中!

よかったらシェアしてね!
目次